森和夫 ノモンハンからの帰還
1939年。
モンゴル国境で
日本と旧ソビエトとの紛争が勃発した。
ノモンハン事件。
大量の戦闘員と武器を投入し、
旧ソビエトは、日本軍を壊滅へ追いやった。
生存率4%。
生き残ることが奇跡と言われた。
森和夫。
東洋水産の創業者は、その貴重な生存兵だ。
戦後、わずか四名の従業員とともに会社を起こすと、
一代で日本屈指の食品企業へと成長させる。
看板商品は、「赤いきつね」。
真っ赤なカップうどんにつけられた名は、
実は、日本軍を撃破したソビエト軍の俗称である。
ノモンハンにくらべれば、どんな苦労も苦労ではない。
「赤いきつね」にこめられたのは、
森の不屈の精神だった。