東未歩 15年11月14日放送
父との確執
ロートレックと父親は、
生涯、心を通わせることがなかった。
「馬鹿な老人め。」
それが、36歳でこの世を去ったロートレックの、
父親に向けた最期の言葉である。
貴族の長男として生まれ、
あふれるほどの愛情と財力を注ぎ込んだにもかかわらず、
足に障がいを負ってしまった息子を、
父親は、後継者として認めなかった。
「もう少し足が長ければ、絵なんて描きはしなかったさ。」
パリで輝くような名声を得てなお、
ロートレックは、父への屈折した愛情を断ち切れなかった。