東未歩 15年11月14日放送
Cea.
現実と非現実の間を生きた画家
平凡で規則的すぎる毎日は、芸術家には極めて珍しい。
ルネ・マグリット。
シュールレアリスムの巨匠は、
毎日スーツに身を包み、
狭いアパートのキッチンでキャンバスに向かった。
10時に床につくことを習慣とし、
幼なじみの妻と添い遂げた。
名もなき小市民と変わらぬ、
単調な暮らしを送った。
描いたのは、現実とはほど遠い世界だった。
空から舞い降るあまたの男達。
上半身が魚、下半身が人間の人魚。
真っとうな表の顔で、内面の狂気を包み隠していた。
少年時代、父に娼婦をあてがわれ、
母を入水自殺で亡くした。
目に見えるものが現実とは限らない。
彼の生き方そのものが、
シュールレアリスムの作品だった。