2015 年 11 月 28 日 のアーカイブ

三島邦彦 15年11月28日放送

151128-01
Yuya Sekiguchi
編み物のはなし 御手洗瑞子(みたらいたまこ)

編み物と港町は縁が深い。
遠い昔、
魚を捕まえるための網づくりから編み物は発達し、
セーターは漁師たちの仕事着として編まれてきた。

遠洋漁業の港町、
宮城県の気仙沼。
ここに、気仙沼ニッティングという会社がある。

この町の人々が昔から親しんできた手編み物を
世界に誇れる商品にすることで
復興の途上にある気仙沼の人々に
確かな希望を作り出した。

気仙沼ニッティングの若き社長、
御手洗瑞子はこう語る。

 働くひとが「誇り」を感じられる仕事をつくりたい。
 お客様が「大切にされている」とうれしく感じられる商品をお届けしたい。
 そして世界中の人から素敵だと思われるものをつくっていきたい。

世界とつながる海を眺めながら、気仙沼ニッティングは進んで行く。

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三島邦彦 15年11月28日放送

151128-021

編み物のはなし 御手洗瑞子(みたらいたまこ)

気仙沼ニッティングは、手編み物の会社。
一着15万円のカーディガンに
全国から注文が集まる。

社長の御手洗瑞子が書いた
「気仙沼ニッティング物語」という本に、
こんな一節がある。

 気仙沼ニッティングではこれまで使ったすべてのロットの毛糸を、
 補修用にとっておいてあります。

 
お客様と一生をともにする物をつくること。
そのための準備をしておくこと。
その誇りと責任感が、さらに人を引きつける。

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中村直史 15年11月28日放送

151128-03
music2020
編み物のはなし グレン・グールド

極度の潔癖症でしられたピアニスト、
グレン・グールド。
彼は、極度の寒がりでもあった。

夏でも暖かいセーターにマフラー。
毛糸の帽子をかぶることもあった。

からだの感覚も、精神の感覚も、
ふつうの人とはちがっていたのか。

でも、そんなグールドの演奏するピアノ曲が、
人類を代表する音の一つとして
今日も宇宙を旅している。

いつの日か、グールドを聴いた宇宙生命体は、
人類をどんな生き物だと想像するだろう?

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三島邦彦 15年11月28日放送

151128-04

編み物のはなし アルベール・アンカー

スイスの国民的画家、アルベール・アンカー。

19世紀のスイスの
地方の暮らしを鮮やかに描いた。

にしても、編み物と少女の絵が多い。
たとえば、こんなタイトルたちだ。

「編み物をする少女」
「編み物をする二人の少女」
「バスケットを持って編み物をする少女」
「窓のそばで編み物をする少女」
「眠る幼児を見ながら編み物をする少女」

どの絵でも、
少女たちは目をふせ、一心に編み物をしている。

車の音も、ケータイの着信音もなかったころの
田舎の静けさが聞こえてきそうだ。

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中村直史 15年11月28日放送

151128-05

編み物のはなし フランソワ・クープラン

バロック音楽の作曲家
フランソワ・クープラン。

優美で洗練された、
いかにもフランスらしい小作品を残した。

代表作「クラブサン曲集」は、
230にも及ぶ組曲で構成される。

その曲名の一つ一つが、
18世紀フランスの息吹を生き生きと伝えている。

「森の妖精」
「猫なで声」
「心地よい恋やつれ」
「恋の夜鳴うぐいす」
「小さな風車」

そして「編み物をする女たち」

編み物は、ずっとヨーロッパ人の
心の風景だったのかもしれない。

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