礒部建多 15年12月20日放送
pellaea
十三と音楽
音楽がわからない、という状態が
ずいぶん永く続いたように思う。
あるエッセイを、伊丹十三はこのような書き出しで始める。
その理由は幼少期の環境にあった。
小中学生の頃、伊丹の周りには、
音楽的教養の高い子どもばかりだった。
自分だけ例外なことに、コンプレックスを抱いていた。
21歳の時、伊丹は初めてヴァイオリンと出会う。
独学で練習を始めると、ひたすらのめり込んでいった。
そして後にこんな言葉を残す。
楽器とはその人の終生の友である。
決して裏切ることのない友である。
好きになれる天才。
それが、伊丹の多彩な才能の原点かもしれない。