大友美有紀 16年1月3日放送
「小林一三」 有望なる電車
阪急電鉄の前身、
箕面有馬電気軌道の開業当時、
小林一三は、資金繰りに苦しんでいた。
そこで工事中にもかかわらず
出資者に事業を説明するPR誌
「最も有望なる電車」を作った。
最初のページから
小説家志望だった一三の文学的センスが
存分に発揮されている。
箕面有馬電鉄の沿道はそんなによいところですか。
之は委(くわ)しく申し上げるまでもありません。
この沿道は飲料水の清澄(せいちょう)なること、
冬は山を北に背にして暖かく、
夏は大阪湾を見下ろして吹き来る汐風の涼しく、
春は花、秋は紅葉と申分ないことは論より証拠で
御一覧になるのが一番早わかりが致します。
大阪の狭い住居で暮らす人は、
きっとここに住みたくなっただろう。
「最も有望なる電車」は、
日本のPR誌の原点とも言われている。