渋谷三紀 16年1月16日放送
内田百間 阿呆列車
何カノキッカケガアレバ
汽車ノコトヲ一生懸命ニ記述シテイル。
随筆の神様、内田百間は、
まちがいなく元祖鉄道オタク。
鉄道に乗るためだけの旅に出ては、
「阿呆列車」をつづった。
鉄道に乗る以外の目的はあってはならない。
行きと違い、帰りは「帰る」という目的があるから、
「阿呆列車」ではないと言い張るのだから、
こだわりをこえた頑固なオタク、ここにありだ。
ついには、東京駅の一日駅長をつとめた百間。
大好きな列車「はと」の展望車に乗れたことが、
よほどうれしかったのだろう。
普段は決して見せない、満面の笑みをうかべた
百間の写真が残されている。