名雪祐平 16年1月30日放送
首の行方 オリバー・クロムウェル3
首が、地面に落ちた。
イギリス国王の逆賊として晒し首になった
オリバー・クロムウェルの首。
その首を守衛の一人が拾った。
自宅の煙突に隠し、
娘にだけ秘密を明かし、亡くなった。
人は秘密を守れない。
誰の手によるものか、
「クロムウェルの首」は売りに出され、
90年後には見世物小屋で、
再び晒し首になったという。
首は人々の手を転々と、流転した。
金儲けに利用する者。
家宝として崇める者。
やがて1960年、
クロムウェルの母校である
ケンブリッジ大学に寄贈された。
クロムウェルの首に、
もう目はなかったが、
300年、人間の何を見てきたのだろう?