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宗兄弟 「モスクワ」
1979年福岡国際マラソン。
モスクワ五輪代表の座をつかむのは
瀬古利彦か、宗茂・猛の「宗兄弟」か。
レースは三つ巴のデッドヒートに突入。
先頭から猛、茂、そして背後から迫る瀬古。
運命の40km地点。宗兄弟は思わず後ろを振り返った。
今だ。瀬古はこの瞬間を4年間待っていた。
振り向くのは苦しい証拠。ラストスパートをかけ、
二位の茂よりわずか2秒差でゴールテープを切った。
宗兄弟と喋っちゃいけない
友達になっちゃいけない
なめられちゃいけない
あいつは違うと思わせないといけない
監督にそう言われ続けた瀬古の執念勝ちであった。
だが半年後、日本はモスクワ五輪をボイコット。
3人の金メダル争いは幻と消えた。