イパネマの男① 「ボサノヴァ」
1957年のある晩、ブラジルの作曲家
アントニオ・カルロス・ジョビンは、
歌手ジョアン・ジルベルトのステージを見て閃いた。
これだ!
彼の囁くような歌い方とサンバのギターこそ、
自分の理想の音楽を体現してくれるに違いない。
二人は早速レコーディングを開始。
1959年に発売されたアルバムの解説で、
ジョビンはジルベルトのことを
ボサノヴァ(新しい才能)
と呼んだ。
それはジョビンの造語であったが、
彼の音楽がその名前で呼ばれるのに
さほど時間はかからなかった。