大友美有紀 16年3月6日放送

160306-08

「菊池寛からの言葉」遺書

昭和23年3月6日、文壇の大御所、菊池寛が急逝した。
葬儀には、家族、親族、2百人あまりの来客、
一般の参列者を加えると7千人あまりが訪れた。
何日か経って菊池寛の仕事場の金庫から遺書が出てきた。

 私は、させる才分もなくして、文名を成し、
 一生を大過なく暮らしました。
 多幸だったと思ひます。
 知人及び多年の読者各位にあつくお禮を申します。
 ただ國家の隆昌を祈るのみ。

 吉月吉日
 菊池寛

「雑誌に発表し告別式のとき掲示されたし」という
一文が添えられていた。
葬儀はすんだばかり。
長男英樹は黒縁の紙に印刷し、
会葬者御礼ともに送った。

死後を思い、後に残されるものを思う。
菊池寛の人への思いの深さを感じる。

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