小林慎一 16年3月20日放送
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才能が壊した殻篇
スティーブン・ウィルシャーは
1974年ロンドンで生まれた。
小児自閉症と診断され
母親にさえ抱かれるのを嫌がった。
唯一なついていた父親を交通事故で亡くすと
ごくわずかに発していた言葉さえも失ってしまう。
クイーン・スマイル・スクールという養護施設に
預けられたウィルシャーは
孤独の殻に閉じこもっていた。
しかし、校長は彼の心を開くことを
あきらめなかった。
ある日、紙と鉛筆を与えると
スティーブンは何時間でも絵を描くようになった。
その絵は、写真さながらに正確で、
高い芸術性も発揮されていた。
6才の時、スティーブンの口が沈黙を破った。
ひと言「paper」と言った