熊埜御堂由香 16年3月27日放送
kikoya0919
桜のはなし 宇野千代と淡墨桜
日本三大桜にも数えられ、散りぎわに、
淡い墨色に花びらをそめる岐阜県の根尾谷の淡墨桜。
樹齢1500年ともいわれるこの桜は、
何度も根を継ぎながら花を咲かせてきた。
ところが、台風で太い枝が折れてしまい、
もう枯れるのを待つしかない、となった時
その命を救ったのは作家の宇野千代だった。
資金援助を募り、この淡墨桜を小説でもとりあげ一躍有名にした。
ひたむきに桜を救った宇野千代が残した言葉がある。
しあわせって、桜のようなものよ。
ああ、今年も桜に会えた。ただそれだけのことなのに、
ほっとしてしあわせな気分になるでしょう。
私はいつか花咲婆さんになって、
しあわせの種を籠いっぱいに入れて、ぱっぱっとまきたい。
宇野千代の残した老木の桜は、
今年も満開の花で人々にしあわせを運んでくる。