「菊池寛への言葉」六代目尾上菊五郎
昭和23年3月6日、文豪・菊池寛は急逝した。
病んでいた胃腸が良くなったという知らせの直後だった。
その急逝に各界が衝撃を受けた。
歌舞伎役者の、六代目尾上菊五郎もその一人。
弔辞の時、菊五郎はしばらく遺影を眺め、
悲しみを吹っ切るように頷き、マイクに向かった。
親友菊池君の死を心から悼む
君の作品は実に演り良かった
最近君に頼んで置いた
僕の演りたいと思っていた作品を
黙って遺して
のそつと逝ってしまった
実に残念だ
寂しい感じだ
菊五郎は野球好きでチームも持っていた。
菊池寛率いる文藝春秋のチームと対戦したこともある。
思い出は尽きないと弔辞は続いた。