Thalita Carvalho ϟ
ひらく 本の未来
ルリユールというフランス語をご存じだろうか。
ルが再び、リユールが糸で綴じる
という意味で、古くなった本を製本し直すという言葉だ。
ヨーロッパには今でも、
大切な本には職人の手で修復・製本・装丁が施され、
「世界に一冊だけの本」として、
親から子へと代々受け継がれるという伝統がある。
パリ17区の工房で働くルリユール職人のソフィー・クァンタンさんは、
「読書というより、本そのものが好きなの」と語る。
そう。
本の価値は、ひらいたページの中だけにあるのではない。
手軽に読むための電子書籍が席巻している今、
ルリユールという言葉がもつ尊い響きは、
本の未来を、再びひらいていくのではないだろうか。