Mariordo
ダンディズムとは アルフレッド・ドルセー伯爵
19世紀の中頃、イギリスとパリの社交界を賑わせたのは、
アルフレッド・ドルセー伯爵だ。
文才があり、絵画も彫刻も得意だが、
なにより彼は、美しく端正な顔立ちだった。
生き様もファッションも、
華やかで甘く優美。ゴージャスでスキャンダラス。
それがドルセー流のダンディズム。
のちに、各界の著名人が集まるサロンを経営するが、
結局は破産してしまう。
いつの世も、ダンディズムの維持費は高い。
Mariordo
ダンディズムとは アルフレッド・ドルセー伯爵
19世紀の中頃、イギリスとパリの社交界を賑わせたのは、
アルフレッド・ドルセー伯爵だ。
文才があり、絵画も彫刻も得意だが、
なにより彼は、美しく端正な顔立ちだった。
生き様もファッションも、
華やかで甘く優美。ゴージャスでスキャンダラス。
それがドルセー流のダンディズム。
のちに、各界の著名人が集まるサロンを経営するが、
結局は破産してしまう。
いつの世も、ダンディズムの維持費は高い。
ダンディズムとは エドワード・ブルワー・リットン
19世紀半ばのイギリス。
エドワード・ブルワー・リットン男爵は、
自分流のダンディズムを小説で表現した。
主人公のペラムは、
フォーマルなイブニングウェアとして、
黒い上着に黒のベスト、全身黒一色のシックな装いで
社交界を渡り歩く。そんな物語だ。
この本が当時、ダンディの教科書ともてはやされた。
現在では常識となった黒の正装だが、
ルーツを遡ると、リットン男爵にたどり着くかもしれない。
ちなみに日本史でおなじみのリットン調査団を率いたリットンは、
彼の孫なのである。
ダンディズムとは ジョージ・ブライアン・ブランメル
ダンディズムの定義とは、難しい。
ハードボイルドで寡黙な男なのか。
バーカウンターで葉巻をくゆらす洒落者なのか。
ダンディズムの元祖と言われるのは、
19世紀イギリスにおけるファッションの権威、
ジョージ・ブライアン・ブランメルだ。
これまで主流だった派手な装飾のスーツをやめ、
かわりに最高品質の素材を用いる。
かつ、体のラインにフィットするように仕立てる。
清潔さを徹底させる。ブーツはシャンパーニュで靴底まで磨き上げる。
ネッククロスの結び方は完璧に。
それでいて、さりげなく。もし誰かが振り返るようなら、それは失敗である。
さらに自身のキャラクターも武器にした。
ポーカーフェイスで毒舌、人を見下すような態度を貫き、
それはやがて多くの人に、憧れと畏れの感情を抱かせた。
ナポレオンになるより、ブランメルになりたい。
そう言われるほどのダンディズム。
ダンディズムとは ベンジャミン・ディズレイリ
のちにイギリスの首相となるベンジャミン・ディズレイリは、
若かりしころ、自己流のダンディズムで社交界を席巻した。
「ヴィヴィアン・グレイ」という小説で
上流階級のリアルな情景を描き一世を風靡すると、
自分自身もあえて奇抜な服をまとい注目を集めた。
カナリア色のベストを羽織り、
シャツの袖はレースがひらひらと舞う。
ズボンはグリーンのベルベット。
銀のバックルのついた靴を履き、
長い巻き毛を揺らせた。
小説の言葉を借りると、
「友には微笑みを。世間には嘲笑を。」
これが彼自身のダンディズムだ。
ダンディズムとは オスカー・ワイルド
有名でなければ、悪名として名をあげたい。
そう考えていたのは、オックスフォードを卒業したばかりの
オスカー・ワイルドだった。
社交界でもその奇抜なファッションで視線を集めた。
ベルベットの上着、膝丈のズボン、サテン地のタイは鮮やかなグリーン。
それは黒に画一化されたフォーマルなファッションへのあてつけであり、
彼らしい反逆のダンディズムと言える。
詩人であり作家でもあったオスカー・ワイルドは、たくさんの言葉を残している。
「自分らしくあれ。他の人の席はすでに埋まっているのだから。」
「流行とは見るに堪えないほど醜いので、半年ごとに変えなければならない。」
19世紀イギリス最後のダンディズムは、
寡黙ではない。雄弁すぎるほど、言葉を刻む。
ダンディズムとは エドワード7世
ヴィクトリア女王の息子、エドワード7世は、
60歳まで皇太子だった。
それはつまり、王位継承の準備期間が
永遠のように長かった、ということ。
身分、経済力、時間。そのすべてを持つ男は、
ファッションリーダーとして注目を集め、
エドワーディアンスタイルとまで呼ばれるようになった。
遊び呆ける息子に母は怒り、
公務につくことは一切できなかったが、
大使としての外遊は許された。
パリでひいきにしていたカルティエを
今のように世界的に有名にしたのは、
エドワード7世の功績とも言われている。
ダンディズムとは ノエル・カワード
20世紀のイギリスで、
ダンディズムのカリスマとなったのは、ノエル・カワードだ。
自分は世界一セクシーな男。
桁外れな才能に恵まれた男。
そう自負するだけのことはあり、
俳優、作家、作曲家としても成功を収めている。
ファッション界にも大きな影響を与えた。
ドレッシングガウン、タートルネックのセーターは
彼のトレードマークになっている。
驕慢なポーズもセリフも、演技のひとつ。
そのダンディズムには、野心という言葉が似合わない。
「人生はうわべだけのパーティーだ。」
彼の言葉が、すべてを物語る。
ダンディズムとは イアン・フレミング
イギリスの作家、イアン・フレミングは
この世で最も有名なダンディズムをつくった。
たまたま見かけた本の表紙から名前を拝借し、
自分の髪型や身長、瞳の色を投影すると、
ジェイムズ・ボンドが生まれた。
紳士的で、破天荒。
美女と戯れ、冷酷に任務を遂行する。
窮地に陥っても、小粋なジョークを忘れない。
007シリーズはブランドになり、
結末がわかっていても、人々は劇場に足を運ぶ。
男はみんな、ダンディズムの世界に浸りたいのだ。
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