あゝ無駄遣い 「幻の寺院」
1770年、ウィリアム・ベックフォードは、
10歳にして巨万の富を相続した。
毎日遊んで暮らしたが、34歳のとき突然、
庭に大寺院を建設しようと思いついた。
知識も経験もないのに建設の指揮を執り、
大工たちに精力剤として大量のウイスキーを与えた。
その年のクリスマス。
酔っ払いたちが立てた寺院の厨房で
ディナーを食べていると天井が崩れ落ちてきた。
彼は一命を取り留めたが、やがて破産。
不毛なオモチャ
と呼ばれた大寺院は、当然ながらもう跡形もない。
あゝ無駄遣い 「幻の寺院」
1770年、ウィリアム・ベックフォードは、
10歳にして巨万の富を相続した。
毎日遊んで暮らしたが、34歳のとき突然、
庭に大寺院を建設しようと思いついた。
知識も経験もないのに建設の指揮を執り、
大工たちに精力剤として大量のウイスキーを与えた。
その年のクリスマス。
酔っ払いたちが立てた寺院の厨房で
ディナーを食べていると天井が崩れ落ちてきた。
彼は一命を取り留めたが、やがて破産。
不毛なオモチャ
と呼ばれた大寺院は、当然ながらもう跡形もない。
あゝ無駄遣い 「氷の宮殿」
18世紀ロシアの女帝アンナ・イワノーヴナは、
心の冷たい女性だった。
性格に似て、与える罰も冷酷。
命令に背いた家臣を、
国で最も美しくない女性と結婚させた。
さらにグラスのワインが
一瞬で凍る大寒波がにもかかわらず、
氷の宮殿に住まわせた。
壁もベッドもカーテンも何もかもが氷。
庭には氷で彫刻したオレンジの木と、
枝にとまる鳥まで置いた。
しかしその年の暮れにアンナは死亡。
春の訪れとともに宮殿は溶け、川に流れた。
家臣とその妻は暖かい家庭を築いたという。
あゝ無駄遣い 「鉄仮面」
顔を見せずに世界一周できるか?
1907年のある日。
アメリカの億万長者とイギリスの貴族が賭けをした。
実行役はハリー・ベンズリーという31歳の投資家。
旅にはいくつかルールがあった。
所持金は100円。下着の替えだけを持ち、
ベビーカーを押して歩くこと。恋に落ち、結婚すること。
そして、いかなるときも鉄の仮面をつけること。
しかし7年後の1914年、第一次世界大戦が勃発。
熱烈な愛国者だったハリーは軍に入隊し、
賭けは中断された。
世界一周まで、あとわずか数カ国だったという。
あゝ無駄遣い 「城とワーグナー」
1864年、ルートヴィヒ2世が即位すると、
バイエルン国民は美男の国王の誕生を
心から喜んだ。
しかし彼の興味は政治ではなく、
城とワーグナーだった。
タンホイザー。ローエングリン。
オペラのような暮らしを夢見て、
おとぎ話さながらの城をいくつも建設した。
1886年に浪費を理由に逮捕されるまで、
22年間も空想の世界に生き続けた。
逮捕の翌日、幽閉先の城近くにある湖で、
彼は溺死体となって発見される。
事故か、自殺か、暗殺か。
その真相はまだ明らかになっていない。
現在、彼が建設したノイヴァンシュタイン城は、
バイエルン地方で最も人気のある
観光スポットとなっている。
あゝ無駄遣い 「悪ふざけ」
西暦218年のローマ皇帝ヘリオガバルス。
彼の晩餐会に招かれた者は死を覚悟した。
ガラスでできた料理を出し、
贈り物には毒ヘビを忍ばせ、
寝込んだ者には寝室にライオンを放った。
天井からバラの花を降らせたときは、
数が多すぎて窒息死する者さえ出た。
それでも彼は大金を費やした
邪悪な悪ふざけをやめようとはしなかった。
見かねた祖母は彼を暗殺。死体は川に捨てられた。
即位してわずか4年。18歳の誕生日を祝う、
盛大な晩餐会を終えたばかりのことだった。
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