澁江俊一 16年5月8日放送
反省なき暴走
今日は、
第二次世界大戦で命を失った
全ての人に追悼を捧げる日。
作家の半藤一利は、
日本陸軍の暴走の始まりとなった戦いを取材し
「ノモンハンの夏」を書いた。
ノモンハンという、
資源も何もない平原をめぐり
一握りの高級参謀の独善で、
8000を超える日本兵士が命を落とした。
陸軍将校たちはその戦いを反省することもなく、
太平洋戦争で同じ過ちを繰り返した。
本のあとがきで半藤はこう語る。
怒りが鉛筆の先にこもるのを如何ともしがたかった。
勇戦力闘して死んだ人びとが
浮かばれないと思えてならなかった。
半藤が取材し、
記した言葉の一つひとつが
名もなき兵士たちへの鎮魂歌なのだ。