伊藤健一郎 16年5月14日放送

160514-01
masa7
青春をかく人 あだち充

 何かを手に入れるためには
 何かを手離さなければならない。

青春漫画『タッチ』の生みの親、あだち充は言う。

 指先ひとつで飛び交う情報、省かれた手間、ヒマ。

 便利さはあっという間にただの日常となって、
 手離したモノを思い出すのはずっと後になってから…

あだち作品の主人公は、概して多くを語らない。
どちらかといえば、不器用に、ぶっきらぼうに想いを口にする。

でもなぜか、そのわずかな言葉を、
言葉にならない言葉たちを、読者は時間をかけて読むことになる。
子どもと大人のはざまで揺れていた、あの頃の自分を重ねながら。

あだち充は言う。

 手間、ヒマ、時間をかけることはムダなことですか?

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