小林慎一 16年5月15日放送
フェルマーの最終定理 失恋が生んだ光
20世紀に入り、
数学者の関心はフェルマーの最終定理から離れていった。
しかし、新たな光を当てられるようになったのは
とある失恋がきっかけだった。
パウル・ヴォウルスケールは
ドイツ有数の資本家であり数学者でもあった。
ある日、彼は女性にふられてしまう。
絶望の淵に沈んだ彼は、自殺を決意する。
綿密に計画を立て日取りを決め
深夜零時にピストル自殺をすることを決める。
自殺決行の日時までに、
残された仕事をし、手紙を書き、遺言を書く。
しかし、零時前にすべてのことが終わってしまうと、
彼は数学の本を読み始めた。
その時、ラメが行ったフェルマーの最終定理の証明についての
クンマーの反論にギャップを見つけると
ヴォウルスケールはその検証に没頭しはじめた。
結果、クンマーの反論は揺るぎないものであることが分かったが、
気がつくと世が明けていた。
ヴォウルスケールは遺言を破り捨てた。
そして、フェルマーの最終定理を証明した者に
財産の大部分をあてた懸賞金を与えると発表した。
送られてきた証明のファイルは30年で3メートルになった。