ひでわく
花と遊ぶ ホウセンカ
夏の庭で
少女たちはホウセンカの花を摘み
その汁で爪を染めた。
爪が赤く染まるから
ホウセンカの別名は爪紅(つまべに)
または爪くれない(つまくれない)
お母さんの口紅はいたずらすると叱られるけれど
ホウセンカの赤は子供にも許された。
おしゃれという言葉も知らず
ただ赤い色がうれしかったあの夏。
昔はよく見かけたホウセンカを
伊藤左千夫はこんな歌に詠んでいる。
山里に友とひよれば 庭さきにつまくれなゐの花ぞ咲きける
ひでわく
花と遊ぶ ホウセンカ
夏の庭で
少女たちはホウセンカの花を摘み
その汁で爪を染めた。
爪が赤く染まるから
ホウセンカの別名は爪紅(つまべに)
または爪くれない(つまくれない)
お母さんの口紅はいたずらすると叱られるけれど
ホウセンカの赤は子供にも許された。
おしゃれという言葉も知らず
ただ赤い色がうれしかったあの夏。
昔はよく見かけたホウセンカを
伊藤左千夫はこんな歌に詠んでいる。
山里に友とひよれば 庭さきにつまくれなゐの花ぞ咲きける
ドラ猫
花と遊ぶ 朝顔
朝顔は夏休みになってから種をまくと
新学期になっても花は咲かない。
5月の末に種をまいた朝顔が花をつけるのは
8月のはじめ頃だし、
6月の半ばにまいた種は
8月の半ばにやっと咲きはじめる。
朝顔の観察日記には計画性が大事だと、
子供の頃に教えられた。
朝顔の花の色は赤、青、白が基本だが
原種の花は青色だった。
垣根に青い朝顔が咲くと
ふるさとの夏が涼しく思えた。
朝顔や 一輪深き淵の色 与謝蕪村
nao
花と遊ぶ 露草
露草は染料になる。
ただし、その色は水で洗うと簡単に落ちる。
その性質を利用して
友禅の下絵を描くのに使われてきたが、
子供たちにとっては消えるインクの材料だった。
誰もいないところで
誰にも言えない言葉を書いて
あわてて水で消す。
空の青、水の青。
その明るい色は
紙に書いても、布を染めても
決して残ることはない。
露草は6月から咲き始め
夏休みが終わってもまだ咲いている。
見かけよりたくましいのかもしれない。
露草や露の細道人もなし 正岡子規
tanakawho
花と遊ぶ オシロイバナ
オシロイバナは夕暮れに咲く。
夕暮れに咲いて
朝には萎んでしまうひと晩だけの花だ。
道端にこの花がたくさん咲いていた頃、
子供たちは花の付け根を引っ張って落下傘をつくり
風に飛ばして遊んだ。
オシロイバナは甘い香りがする。
種を割ると出て来る白い粉を
白粉にしてお化粧ごっこをすることもあった。
オシロイバナの別名は夕化粧。
お化粧に興味を持ちはじめた少女にとっては
ちょっと悩ましい花だったかもしれない。
おしろいの花ぬってみる娘かな 小林一茶
qooh
花と遊ぶ ホオズキ
赤いホオズキの実は知っていても
ホオズキの白い花を知る人は少ない。
花の時期はちょうどいま。
花が終わり、実を結び、
その実が赤くなるのが8月の旧盆のころなので
死者の霊魂を導く提灯に見立てられた。
そのお供えのホオズキをもらって
種を掻き出して口に含み
ギュウギュウと鳴らすのは
昔の子供たちの遊びだった。
鬼灯はまことしやかに赤らみぬ 高浜虚子
俳句の世界でホオズキは秋の季語、
ホオズキの花は夏の季語だ。
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