生涯、冒険家。(ウォルター・ローリー)
「私にはシェークスピアに匹敵する分厚い本は書けない。
しかし、私ならではの本を書くことはできる」
ウォルター・ローリー。
その男は、貴族であり、政治家であり、詩人だった。
そして16世紀イギリスで、新世界への扉をひらく冒険家でもあった。
幾度となく大海原を旅したウォルターは言う。
「情熱とは海だ。浅きものはつぶやき、深きものは黙す」
生涯、冒険家。(ウォルター・ローリー)
「私にはシェークスピアに匹敵する分厚い本は書けない。
しかし、私ならではの本を書くことはできる」
ウォルター・ローリー。
その男は、貴族であり、政治家であり、詩人だった。
そして16世紀イギリスで、新世界への扉をひらく冒険家でもあった。
幾度となく大海原を旅したウォルターは言う。
「情熱とは海だ。浅きものはつぶやき、深きものは黙す」
NOAA Photo Library
生涯、冒険家。(大場満郎)
「いつ死んでも不思議じゃなかった」
北極海単独徒歩横断。
大場満郎は、見果てぬ夢を追いかけた。
凍傷になり足の指をすべて失った。
凍った体で遺言を書いた。
3度の失敗を重ね、大場は学んだという。
畏れ、謙虚、感謝こそ、前人未到の旅を成し遂げるカギであると。
4度目の挑戦で北極海を制覇し、
その2年後には、南極大陸の単独徒歩横断を成功させた大場。
彼は言う。
「冒険家が大胆なだけだったら、それは死に直結してしまいます」
Tasmanian Archive and Heritage Office
生涯、冒険家。(エドモンド・ヒラリー)
エドモンド・ヒラリー。
1953年に、世界で初めてエベレスト登頂を成し遂げた冒険家だ。
地球上で最も高い地点に立った男は、
特別なトレーニングをしていたわけではなかった。
本業としていた、養蜂業。
来る日も来る日も蜂の巣箱を運ぶ作業が、
強靭な足腰を育てたという。
積み重ねることの大切さを知るエドモンドは言う。
「山はこれ以上大きくならないが、私たちはいくらでも成長できる」
Martin D Stitchener PiccAddo Photography
生涯、冒険家。(ジェームズ・スティーブ・フォセット)
男は、自分の力だけで世界一周を果たした。
気球で、船で、飛行機で。乗り物をかえ、
たった一人、地球を何度もぐるりと旅した。
男の名は、ジェームズ・スティーブ・フォセット。
金融サービス業で財をなし、その後の人生は冒険家として生きた。
87もの航空世界記録を持つジェームズは言う。
「目標を高く設定して、そんなことは不可能だという周囲の言葉に惑わされるな」
2007年、ジェームズは、
車のスピード記録に挑戦するための実験コースを探しに
小型機で飛び立ち、帰らぬ人となった。
その生涯は、冒険の中で幕を閉じた。
Sergey Ashmarin
生涯、冒険家。(ラインホルト・メスナー)
「僕は自分自身のために登る。僕自身が祖国となり、僕のハンカチが国旗となるからだ」
8000メートルを越える山々、全14座を完全登頂した男。
ラインホルト・メスナー。
彼は決して、ボルトを山に打ち込まない。
酸素ボンベを持ち込まない。
ラインホルトは語る。
「死の危険がなかったら、クライミングはもはやクライミングではない。
山に登っているとき、僕は死を求めているのではなく、
それとは正反対に、なんとか生きようとしている」
Bob Lord
暗号解読と数学篇
第二次世界大戦。
ドイツの暗号システム「エニグマ」は
1億5千万通りの百万倍の百万倍の百万倍
の設定が可能だった。
イギリスの暗号解読班は
古典学者と言語学者で占められていたが
数学の研究者が必要だと判断した。
コンピュータの原型である無限計算機の開発者
アラン・チューリングがイギリスの暗号解読班に参加した。
チューリングは、
エニグマの全設定をチェックする巨大な装置をつくった。
その装置は、回線がつねにカチカチと音を立てるため
爆弾と言われた。
戦況は一変した。
第二次世界大戦は物理学者の戦争と言われた。
しかし、
長い間、秘密のベールに隠されていた
チューリングのチームの存在が明らかになった今、
第二次世界大戦は数学者の戦争だったのだ。
神とサイコロ篇
人類にとって、
確率とは、ギャンブラーの直感と経験のことだった。
17世紀に入り、
パスカルとフェルマーの共同作業によって
確率は厳密な数学規則に従うものになった。
しかし、それ以来、数学的に正しい数字と、
私たちが直感的に正しいと思える数字が違っていることが
少なからずある。
サッカー場に選手と審判が23人いるとする。
この23人のうち、誰か2人の誕生日が
同じになる確率はどれくらいだろうか。
10%だろうか。3%だろうか。
答えは、50%を超える。
誕生日が同じ人が一組生まれる確率は、
一組も生まれない確率よりも高いのだ。
その理由は、23人という数字よりも、
ペアをつくる組み合わせが重要だからだ。
ペアの組み合わせは、253通りになる。
このような確率の錯覚を利用したギャンブル生まれている。
あなたも、くれぐれもお気をつけを。
微積分と大統領篇
フェルマーは確率論の生みの親になっただけでなく
微積分学の創設にも深く関わった。
微積分法によれば
ある量が別の量に対して変化する率
微分係数を求めることができる。
例えば、速度とは時間に対する距離の変化率のことで
加速度とは時間に対する速度の変化率のことである。
微積分学のおかげで惑星の軌道を計算し、
大砲の弾道を予測し
人類は月に行けるようになった。
微積分学は経済学にも大きな影響を与えた。
インフレーションとは物価の変化率のことである。
インフレーションは物価の二次導関数で表され
その増減は三次導関数によって計算される。
1972年、ニクソン大統領は
インフレーションの上昇率は減少しつつある、と演説した。
数学者のヒューゴ・ロッシは
現職の大統領が再選に向けて三次導関数を
利用したはじめてのケースであると述べている。
セミと素数篇
周期ゼミというセミがいる。
どんな世代でも正確に17年または13年で大量発生する。
周期年数が素数であることから素数ゼミとも呼ばれている。
最近では、2004年にニューヨークで大量発生し
日本でもたびたび報道された。
素数年発生の意義を最初に指摘したのはロイドとダイバスだ。
セミの天敵である寄生虫が2年のライフサイクルを持つなら
セミは2で割り切れるライフサイクルは避けたいに違いない。
3年の場合は3で割り切れるライフサイクルを避けようとするだろう。
セミが寄生虫との同時発生を避ける最良の策は
長くて、しかも素数のライフサイクルを持つことだ。
2年のライフサイクルをもつ寄生虫と
ジュウナナネンゼミが顔を合わすのは34年ごとになる。
そんなセミに寄生虫が対抗するには1年サイクルか、
17年サイクルになるしかない。
1年サイクルだとすると、
最初の16年は宿主になるセミはいない。
17年サイクルだとすると、
寄生虫とセミは272年間同時発生しないことになる。
天敵のいなくなったジュウナナネンゼミは、
2021年にまた大量発生する。
戦闘と数学篇
1944年。
フォン・ノイマンは「ゲームの理論と経済行動」
という共著を出版した。
ノイマンはこの本の中でゲーム理論という言葉を生み出し
人間がゲームをいかに遂行するかを数学的に記述した。
チェスやポーカーについて研究し、
経済の営みもモデル化しようとした。
アメリカのシンクタンクであるランド研究所は
ノイマンのアイデアが持つ
潜在的可能性に気づき
冷戦期の戦略開発のために彼を雇い入れた。
ゲーム理論は、
戦闘をチェスと見立てて戦略を練るのに
なくてはならない道具となった。
ゲーム理論によって進化した戦闘は
より効率よく人を殺せるようになったのだ。
ジョイスティックで操られた無人機が爆弾を落とす。
戦闘のゲーム化が、残虐性を覆い隠してはいないだろうか。
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