佐藤延夫 16年8月6日放送

160806-03

作家とオリンピック 星新一

1964年。
東京オリンピックの年、星新一は38歳だった。
数年前、日本SF作家クラブ設立に参加し、
毎年のように短編集を上梓していたころ。
新聞に、オリンピックを題材にした短編が掲載されている。

「今日はオリンピックでも見に行くとするかな。」
「あら、うちの立体カラーテレビで見物すれば、同じことじゃないの。」

こんな書き出しで始まる物語は、いかにも星新一の世界だった。
オリンピックは、世界の驚異的な繁栄のため毎年開催され、まもなく年に2回となる。
旅行サービス社に電話をすれば、空中ステーションから
大型ロケット機で開催地に運ばれる。
興奮した観客が現れると、鎮静作用のあるガスが噴射される。
そして特別オリンピックは、月の第一ムーンシティで行われる。

タイトルは、「オリンピック2064」。
星新一の想像するスポーツの祭典は、
今よりも、ずっとずっと未来の話だ。

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