小林慎一 16年8月21日放送
過剰と蕩尽篇
人は人になった時から
生存に必要以上のものを生み出し続けている。
そのような行動をとる動物は人だけである。
経済学は、生産の効率化と大規模化で説明しているが
そもそもなぜ必要以上なものを生み出すのか
という説明にはなっていない。
栗本慎一郎が専門にする経済人類学には
「過剰・蕩尽理論」という重要な説がある。
蕩尽とは、使い尽くすという意味である。
人は、ワザと過剰なものをつくりだし、それを、蕩尽する時に、快楽を感じる。
それは、積み上げた積み木を壊す時の、子供の喜びと同じ種類だと言う。
普通の日は、働き、過剰を溜め込み、
溜め込まれた物や人間のエネルギーを、
非日常の日に消費し、破壊する。
そのような祭りは、古代や未開社会だけでなく、
現代社会にも数多くある。
暑い夏。
それは、蕩尽の季節でもある。