渋谷三紀 16年8月27日放送
ひこうき雲
いぬのはなし 安岡章太郎とコンタ
「愛犬物語」には、
作家、安岡正太郎と愛犬コンタの
15年にわたる思い出が綴られている。
散歩中、コンタが突然、猫を噛んだ。
突如、野生に戻ったコンタに安岡はショックを受けるが、
二、三日、餌も食べずにぼうっとするコンタを見て考える。
人間と暮らして、すっかりその気になっていても、
どうした拍子に自分が犬だと気づくと、
自分が犬であることに、耐え難い嫌悪感を覚えるのだろう。
それでも人と寄り添って生きようとする犬という生き物を、
愛しく思わずにはいられないのだと。