松岡康 16年8月28日放送
Ian Hayhurst
物書きの冒険
今日は童話作家
ミヒャエル・エンデの命日。
彼はどんな結末か考えずに物語を書いていた。
物語を書きながら、わたしは、もっぱら恣意的な思いつきに身を
ゆだねるのは具合のいいものだということを発見したのです。
すなわち、ものを書くことそれ自体を、冒険のように体験しうるのです。
魂の奥底から湧き出るストーリーに、自らのペンをゆだねる。
それが彼のスタイルだった。
エンデの代表作である「はてしない物語」。
この話の大部分は創作過程で切り捨てられ、
実際に出来上がったものは約五分の一ほどだったという。
その題名のごとく、
彼の心の中には物語が果てしなく広がっていた。
この世の中で最も冒険をしているのは、
冒険家でもなく、本の読者でもなく、
作家なのかもしれない。