麗子像
横につぶれたような輪郭と日本人形の様なおかっぱ頭。
糸の様に切れ長の目で不気味な笑みを浮かべている。
岸田劉生作、麗子像。
日本で一番有名な少女の肖像画をみて、
不気味だと思う人は多いかもしれない。
劉生は20代前半で巨匠デューラーに傾倒し、写実の追及を始めた。
娘の麗子が生まれると、実に16年にもわたって彼女を描き続けた。
そして気が付く。
写実の持つ均衡を少しだけ崩すことで、不思議な美しさが生まれることに。
不気味な少女の画をじっと眺めていると、
怖さだけではない美しさが見えてくる。