村山覚 16年11月12日放送
小篠綾子と洋服
大阪・岸和田の呉服屋の長女として育った
小篠綾子は洋服が大好きだった。
ふとんの裏地を縫い合わせて自分のワンピースをつくった。
女学校をサボっては、町で唯一ミシンのある店に通いつめた。
そのことは父の耳にも入る。
呉服屋からしてみれば、洋服屋は商売仇。
「許して」「あかん!」「許して」「あかん!」
父の反対を押し切り、
ミシンや裁断の勉強をするために学校を中退。15歳だった。
およそ20年後。着心地がよくおしゃれな洋服が評判になった
コシノ洋装店に、ある注文が届く。自分が中退した母校から、
制服をつくってほしいという依頼だった。
洋服は時代とともに変わり続けるが、
ぴかぴかの服を着る喜びは、今も昔も変わらない。