四宮拓真 16年12月11日放送
天才絵師 河鍋暁斎「早熟の鬼才」
絵師・河鍋暁斎は、圧倒的に早熟だった。
わずか3歳で蛙を写生したという。
その後7歳で浮世絵師・歌川国芳(うたがわ くによし)に入門し、
9歳になると狩野派(かのうは)に転じて、
19歳という若さで修行を終えた。
幼い頃から、絵に対する貪欲さは強烈だった。
川から流れてきた人の生首を拾って模写し、
周囲をひどく驚かせたという。
また、川遊びで鯉を生け捕りにしたときにも、
暁斎はすぐに写生をはじめ、鱗の数まで正確に描き上げた。
早く殺して食べてしまおうという周囲に対して、
この鯉はあらゆる部分を写生させてもらった以上我が師だ。
礼を尽くして天寿を全うさせてやらねばならない。
と強く反対し、逃してやった。
突拍子のない行動は、芸術への探究心の表れであった。