蛭田瑞穂 17年1月8日放送
おとな 菊池寛
芥川賞、直木賞を設立し、多くの才能を発掘した作家、菊池寛。
菊池は小説家を目指す若者に向けてこんなメッセージを遺している。
僕は先ず、「二十五歳未満の者、小説を書くべからず」という規則を拵えたい。
十七、十八乃至二十歳で、小説を書いたって、しようがないと思う。(中略)
小説を書くということは、紙に向って、筆を動かすことではなく、
日常生活の中に、自分を見ることだ。(中略)
学生なら学校生活、(中略)会社員は会社の仕事、各々の生活をすればいい。(中略)
かくの如く、生活して行き、而して、人間として、生きて行くということ、
それが、すなわち、小説を書くための修業として第一だと思う。
菊池寛「小説家たらんとする青年に与う」より