澁江俊一 17年1月15日放送
KenWalker
写真家を導いたワタリガラス
2017年は、酉年。
ワタリガラスという鳥がいる。
世界各地の神話で、
人類を導く役割を担っていたワタリガラス。
アラスカに住むインディアンには
とりわけワタリガラスの神話が多い。
モンゴロイドである彼らは
かつてこのワタリガラスに導かれて
ベーリング海を越え、
北方アジアから新大陸アメリカへとやってきたのだ。
その神話を追い続けたのが
写真家の星野道夫。
彼はその謎をたどるように
アラスカからシベリアに渡り
ワタリガラスの神話を集める旅をしていた。
その途中、ヒグマに襲われ、命を落とした。
星野道夫はもういない。
けれど今でも、
星野が残したたくさんの写真と言葉は、
ワタリガラスのように
私たちを彼が探していた場所へと、導こうとしている。