茂木彩海 17年1月29日放送
Mugu-shisai
宇宙のはなし 三島由紀夫の解釈
三島文学としては異例の
宇宙人やUFOが登場する小説、「美しい星」。
物語の主役は、埼玉県に暮らす四人家族。
地球で暮らしながら自分たちは宇宙人である
という自覚を持っていて、
人類滅亡の危機を救うべく奮闘する姿が描かれる。
この小説を書く数年前、私は「空飛ぶ円盤」に熱中してゐた。
しかし、どんなに努力しても、円盤は現はれない。
そこで私は、「空飛ぶ円盤」とは、一個の芸術上の観念に
ちがひないと信じるやうになつたのである。
宇宙にあこがれながらも、一方で
「空飛ぶ円盤」は観念であり、芸術なのだと説く三島の解釈に
なんとなく納得してしまうのは
宇宙をテーマにした芸術作品がこの地球に星の数ほど存在するから。
これからも、私たちは夜空を見上げ、宇宙を想い、
またあたらしい作品を生み出していくのだろう。