ぬいぐるみの話 A.A.ミルン
1926年、スコットランド人のA.A.ミルンが発表した
“Winnie-the-Pooh”は、
愛する息子クリストファー・ロビンに贈った物語。
物語の主役Poohをはじめ、他の仲間たちもみんな
息子が大切にしていたぬいぐるみだ。
自分のぬいぐるみたちが活躍する物語に、
幼いクリストファーは胸を躍らせたことだろう。
しかしこの素敵な贈り物が。
やがて親子の間に亀裂を生むことになった。
クリストファーは大人になっても
つねに“物語の中のクリストファー・ロビン”と比べられ、
その陰に苦しめられたのだ。
「物語のクリストファーは父の夢の中の理想のボク。
しかし、誰もが彼をボクだと思うんだ。」
彼は次第に、作者である父親をひどく憎むようになっていく。
この優しくあたたかい物語がもつ、
もうひとつの悲しい物語だ。