yamada*
春の妖精 二輪草
春の妖精と呼ばれる草花がある。
英語ではspring ephemeral、春の短い命。
その名の通り、春まだ浅い野山に咲き、
初夏の日差しを浴びる前に姿を消す。
その仲間の一つ、二輪草は背丈20センチ。
ひとつの株から2本の茎を伸ばして
小さな白い花を二つ咲かせるから二輪草。
この花には一輪草という仲間もいて
北原白秋はこんな詩を書いている。
真実さびしき花ゆえに
一輪草とは申すなり
一輪咲いたが一輪草、二輪咲くのが二輪草
とはいえ、早春の落葉樹の森へ行くと
一輪草も二輪草も
命の短さを知るかのように
何本も何十本も、ときには何百本も寄り添って
いたわり合って咲いている。