三國菜恵 17年3月25日放送
花ひらく 井上陽水
東京に来たのは、
グループサウンズの終わりの頃だった。
「ACB」というジャズ喫茶によく行っていた。
そこは自分のステージではなかったけれど、
時折、楽屋にいるメンバーから「歌っていいんだよ」と
声がかかることがあった。
客席はまばらで空いていたけれど、
気持ちは歌いたい盛りだった。
当時珍しかったリバーブのかかったマイクで歌うのがうれしかった。
そう語ったのは、シンガーソングライター井上陽水。
グループサウンズブームの終わりに、ひとりでステージに立った日から、
新しい歴史が動き出していた。