名もなき人たち 名無しの権兵衛
その男、いつ生まれたかはわからないが、
かなりの有名人である。
実は、夏目漱石の「我輩は猫である」にも登場している。
彼の名は、名無しの権兵衛。
名前はあるのに、なぜか名無しの権兵衛と呼ばれる男だ。
ひとつわかっているのは、
その昔、地方出身者に多い平凡な名前だった、ということ。
それが悪かったのか、江戸時代の遊郭には、
たくさんの名無しの権兵衛がいた。
政府の目を逃れるため、遊女に男性の名前をデタラメにつけたからだ。
ちなみにこの男、英語の国では、John Doeと名乗るらしい。
今日は4月1日。名無しの花子がお伝えしました。