TANAKA Juuyoh
5月の花 ゲンノショウコ
江戸時代から副作用のない民間薬として
親しまれてきたゲンノショウコは夏の花だが
5月の季語にその名を連ねている。
旧暦の5月はすでに夏だったのだ。
ゲンノショウコの学名、ゲラニウム・ツンベルギーは
江戸の末期に日本を訪れたスエーデンの植物学者
カール・ツンベルクの名前をいただいている。
ツンベルクは将軍に拝謁するために
長崎の出島から江戸への旅をし、
その道中で800種類を超える植物を採集して標本にした。
ツンベルクは日本の植物を研究した初めての西洋人だった。
日本の植物は、このときはじめて
近代分類学と出会ったのだった。