四宮拓真 17年5月21日放送
どんぺい
相田みつを 作風の変化
「にんげんだもの」などの作品で知られる書家・詩人、相田みつを。
みつをと言えば、誰もが連想するのは、あの独特の書体。
筆がのたうつようで、いわゆる「上手な字」ではない。
しかし、そのイメージを持って彼の初期の作品を見ると、あなたは驚くだろう。
実にきれいな楷書で、整然と漢字が並んでいるからだ。
それもそのはず。
みつをは19歳で著名な書家に弟子入りし、その後ほどなくして、
権威ある書道展で入選の常連になった。
20代にして、書道界ではかなりの実力者だったのだ。
そんなみつをが、いまの作風に変化したのは、30歳ごろ。
彼にどんな心境の変化があったのか。
のちにこう語っている。
自分は、技術的に高度な作品を書くことはできる。
でもそれでは、こいつなかなかうまいなあ、と感心はしてくれるが、
いいなあ、素晴らしいなあ、と感動はしてくれないのだ。
そう考えて、みつをは自分の言葉を、
自分の字で伝えることに人生を捧げる決意をしたのだった。