四宮拓真 17年5月21日放送
相田みつを 一文字
「にんげんだもの」など の作品で知られる書家・詩人、相田みつを。
人生訓のような詩が人気だが、作品全体を眺めると
実は「一文字だけの作品」が多いことにきづく。
「出逢い」「逢引」の「逢」、
「不可能」「不自然」の「不」がその代表例で、
ほかにも「水」や、ひらがなの「ゆ」などもある。
不自然の「不」という字は、否定ではない。
今日の自分を生きる、今日新たに生まれ変わる。
そうとらえている。
彼は、一文字のなかに、無限に広がる世界をイメージしていた。
「土」という一文字を書いた作品がある。
タテ1本・ヨコ2本の線でできた極めてシンプルな漢字だが、
だからこそ難しい。
何回書いても、うまくいかない。
そう言って、彼は死ぬまで、「土」を書き続けた。