小野麻利江 17年5月28日放送
Stefan Leijon
ダンスのはなし シルヴィ・ギエムの信条
伝説のバレリーナ、シルヴィ・ギエム。
パリ・オペラ座のエトワールの座をわずか5年で返上し、
その後はどこのバレエ団とも専属契約を結ばず
50歳で引退するまで、39年間踊り続けた。
強靭で、驚くほど柔軟な身体を活かしながら
表現の枠を広げてきたギエム。
芸術監督の言ったことにも「ノン」と断ることから
つけられたあだ名は「マドモワゼル・ノン」。
そんな態度が、非難を浴びることも少なくなかった。
しかし彼女の中には、
自分の表現を高めていくために守ってきた
確固たる信条があった。
自分の心で感じていない動作をするのは、
どんな時でも正しくない。
舞台美術家のボブ・ウィルソンとの仕事を通して、
ギエムはそれを学んだという。
自分の心、そして踊りに対して、
誠実であろうとしてきたギエム。
親友にもかつて、こんなお願いをしていたという。
もしも私が、伝えることが何もない
老いぼれのダンサーになっていたら、
私を殺してね