「激情の人/ゴッホ」 怒りっぽいこども
フィンセント ファン ゴッホ。
数々の激情のエピソードが残る稀代の画家。
13歳の時に寄宿学校に入学するも、
年とともに強情に、怒りっぽくなっていく。
ついに友だちといさかいをおこし、
小学校を退学になってしまう。
この子は、ものごとを
あまりにも真面目に考えすぎるのではないか。
牧師だった父は、反抗心の強い我が子に
手を焼きながらも愛情を失わなかった。
「激情の人/ゴッホ」 怒りっぽいこども
フィンセント ファン ゴッホ。
数々の激情のエピソードが残る稀代の画家。
13歳の時に寄宿学校に入学するも、
年とともに強情に、怒りっぽくなっていく。
ついに友だちといさかいをおこし、
小学校を退学になってしまう。
この子は、ものごとを
あまりにも真面目に考えすぎるのではないか。
牧師だった父は、反抗心の強い我が子に
手を焼きながらも愛情を失わなかった。
「激情の人/ゴッホ」 牧師への道
小学校を退学になったゴッホは、
画商、寄宿学校の教師、書店勤めと
職につくが、長続きしない。
父の後を継いで牧師になりたいという
気持ちが抑えられなくなる。
古くからクリスチャンの家系であるわが家には、
代々いつも神の福音を説く人間がいた。
僕がいまこの役割を継いだとして、
なんの不思議があるだろう。
ゴッホは、24歳のとき、アムステルダムで
神学大学に入学するための受験勉強を開始する。
「激情の人/ゴッホ」 街角の伝道師
24歳の時、ゴッホは、アムステルダムで神学大学に入るための
受験勉強を始める。けれどもギリシャ語の動詞でつまずいてしまう。
オランダでは伝道師になるために6年間学ばなければならない。
ベルギーなら3年でいい。ゴッホは、ブリュッセルの伝道師養成学校に入る。
3か月の実習を受ければ、伝道師として派遣される。
3ヶ月の間ゴッホは努力した。けれど、また失敗に終わってしまう。
他人をかえりみない生活態度や乱暴な言葉遣い。
注意されても改めることはできなかった。
ゴッホはまたしても学校をやめざるをえなかった。
それでもゴッホは落胆しない。
ベルギー南部の炭鉱地の街角で神の言葉を説いた。
坑夫と付き合うには坑夫のようにならなければならない。
気取ったり、傲慢だったり、知識をひけらかしてはいけない。
そんなことをすれば、かれらと理解しあえないし、信頼もされない。
最初は馬鹿にされていたが、
ゴッホは次第に町の人から支持されるようになった。
「激情の人/ゴッホ」激しすぎる自己犠牲
ゴッホは、ベルギーでの説教活動が認められ、
試験的に伝道師の資格を与えられた。
そして貧しい人々の中に飛び込んでいった。
自分の衣服を分け与え、事故がおきればすぐにかけつけ、
チフスが流行すれば献身的に看病した。
まさにキリストのように人々のために働いた。
ゴッホ自身の衣服はボロボロ。
あばら屋で藁の上で寝ていた。
行いそのものは正しいが、
とても正気の沙汰とは思えない。
激しすぎる自己犠牲。
ゴッホは伝道師を解任されてしまった。
「激情の人/ゴッホ」うさんくさい人間
牧師への道を断たれたゴッホは、家族のもとに戻る。
待っていたのは容赦のない非難だった。
大工でもパン屋でも図書館の司書でもいい、
なんでもいいからまともな仕事についてほしい。
でもゴッホにはできなかった。
知らず知らずのうちに僕は家族のなかで、
手のつけられないような
うさんくさい人間になってしまった。
確かに僕は情熱家だから、
いくらか非常識なことをやらかしてしまう。
そして後になっていくらか後悔もする。
もっと我慢して待ったほうがいい時でも
すぐに言葉に出したり、行動してしまう。
ゴッホは、この情熱から、いかにして良いものを
引き出そうとして努力するかと考える。
そして、絵を描くことこそ救いになると気づくのだ。
「激情の人/ゴッホ」アルル
画家を志したゴッホは、パリで日本の浮世絵に出会う。
そして日本とよく似た南仏へ、
日本の浮世絵にあるような明るい光を求めてアルルへと
やってくる。
僕の失われた青春がいくらかでも
取り戻せるような、若々しい作品が
いつか描けるような気がする。
南仏の輝く太陽のもと、ゴッホは色彩を獲得した。
黄色い家、ゴッホの寝室、夜のカフェテリア。
ゴッホは、アルルで200点もの作品を生み出した。
「激情の人/ゴッホ」ゴーガン
ゴッホとゴーガン。その友情と確執は有名だが、
二人がアルルで暮らしたのはたった2ヶ月だった。
ゴッホが食料を買い出しに行き、ゴーガンが料理をする。
お互いの作品を模写し、お互いの肖像画を描く。
絵についての議論を交わす。
ゴッホはゴーガンに批判されるのに耐えられなくなった。
そしてあの事件が起きる。
ゴッホはゴーガンにカミソリで襲いかかるも逃げられてしまう。
自分の耳を切り落として、娼婦にやってしまう。
ゴーガンはパリに帰ってしまった。
印象派の小暴君ボナパルト、軍隊を見捨てて逃げた伍長
ゴッホは精神病院に収容されることになった。
「激情の人/ゴッホ」カラス
どうにもならない!どうにもならない!
そうつぶやきながら、ゴッホは畑の間を歩き回っていたという。
鳥を追い払うため、と借りていたピストルで自分の腹を撃った。
その夜遅く、下宿先の夫婦は、ゴッホが脇腹から血を流して
ベッドに横たわっているのを見つける。
医師が呼ばれたが、弾丸を摘出することはできなかった。
翌日、弟のテオもかけつけた。
泣かないでくれ、みんなのためを思ってしたことなんだ。
ゴッホは37年の短い生涯を終えた。
死の間際まで描いていたとされる「カラスのいる麦畑」。
何羽ものカラスが上空を舞う。
ゴッホの激情が出口を求めているかのようだ。
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