日記のはなし 意外と自由な土佐日記
日本文学史上初の日記文学と言われる「土佐日記」。
その内容は、フィクションありダジャレあり、
人情に歌、旅情もあり、なんとも自由なスタイルの日記であった。
何しろ最初の一文からして、自由だ。
男もすなる日記といふものを、
女もしてみむとて、するなり。
作者の紀貫之は男性だが、
女性としてこの日記を書いているのだ。
日記をつけようと思うと、面倒になることもある。
そんなときは、この偉大な日記を思い出して
自由な気持ちになってみよう。
日記のはなし 意外と自由な土佐日記
日本文学史上初の日記文学と言われる「土佐日記」。
その内容は、フィクションありダジャレあり、
人情に歌、旅情もあり、なんとも自由なスタイルの日記であった。
何しろ最初の一文からして、自由だ。
男もすなる日記といふものを、
女もしてみむとて、するなり。
作者の紀貫之は男性だが、
女性としてこの日記を書いているのだ。
日記をつけようと思うと、面倒になることもある。
そんなときは、この偉大な日記を思い出して
自由な気持ちになってみよう。
日記のはなし 斎藤茂太の日記のススメ
モタさんという愛称で親しまれた
精神科医にして随筆家の斎藤茂太(しげた)。
父は斎藤茂吉、弟は北杜夫。
当然のように文才に恵まれたモタさんは、
医者として、人を元気にするために
「言葉の力」を使い続けた。
モタさんは、自分の言葉を伝えるだけではなく、
一人ひとりが自分自身の悩みや考えを
自らの言葉としてカタチにすることを大事にしていた。
そんな彼による、日記のススメ。
日記は、誰も応援してくれる人がいないときにも、
自分のための唯一の応援歌になる。
励ますでも諭すでもない、モタさんらしい薦め方。
未来の自分のために、今日、言葉を綴ろう。
日記のはなし 石川啄木のローマ字日記
1909年の4月7日から6月16日のあいだ。
歌人・石川啄木は、ローマ字で日記を書いた。
そこに書かれているのは、
会社をずる休みしたり、
生活を助けてくれる友人をけなしたり、
友人の物を勝手に質に入れて遊郭に通い、
その様子を赤裸々に描写したりという、
彼の歌からは想像もつかない振る舞いの数々。
妻のことは愛しているが、
妻に読まれたくないからローマ字で日記を書く。
そんな身勝手な感情まで、記されている。
実のところ、妻の節子は
ローマ字を読めたのではないかという説もある。
しかし、啄木の死の直前に
日記をすべて燃やすよう命じられても、
愛着から燃やすことができませんでした。
と、親友の金田一京助に日記を託した。
読まれた人と、読んだ人。
日記は、様々な人情の機微でできている。
John-Mark Kuznietsov
日記のはなし 森見登美彦の日記修行
小説家の森見登美彦は、
中学一年生の時から大学を卒業するまで、
1日1ページ日記を書くという習慣を自分に課していたという。
その量、10年間で大学ノート60冊分。
結局、小説だって、一番最初は自分が読む、自分に読ませる。
だから自分で読んで満足するようなものを書かないと
しょうがないと思うんです。
自分の文章がどんな具合か。
森見さんに倣って日記で見直してみるというのも
良い方法かもしれない。
日記のはなし 益田ミリの「今日の人生」
日々感じているけれど、
わざわざことばにしない気持ちがある。
ことばにできない気持ちもある。
そんな心の機微をふわりと漫画に描く、
イラストレーター、益田ミリ。
彼女が、何気ない日々のできごとを
日記感覚で描いたのが
コミックエッセー「今日の人生」。
たった2コマの今日もあれば、
8ページにわたる今日もある。
切なかったり、もやもやしたり、
おいしかったり、くすりと笑ったり…。
おなじ今日は一日もなく、
どの日にもちゃあんと人生がある。
そんな「今日の人生」の1頁。
わたしの、わたしの人生に降りかかってくる面倒なできごと
すべて作品に昇華してみせる と、改めて思った今日の人生。
Aurelio Asiain
日記のはなし ドナルド・キーンの日記文学研究
ニューヨーク出身の日本文学研究者、
ドナルド・キーン。
日本人以上に日本文学をこよなく愛し、
平安時代から近代までの日記文学を読み解き、
千年を超える日本人像を浮き彫りにした。
日記に心を向けた理由を、ドナルド・キーンはこう語る。
今日私が知る日本人と、いささかでも似通った人間を、
過去の著作の中に見いだす喜びのためだったのである。
きょう誰かが書くブログの中にも
いにしえの作家たちとの共通点が見いだせるかもしれない。
日記のはなし せきらら蜻蛉日記
女流日記のさきがけと言われている蜻蛉日記。
作者は藤原道綱の母。
内容はと言うと、夫への不満、愛人への嫉妬…などなど。
彼女の身分では決して口に出せない男女に関する本音だらけ。
人にもあらぬ身の上まで書き日記にして、めづらしきさまにもありなむ
こんな身の上でも日記として書いてみたら、
なおのこと珍しく思われることだろう。
彼女の狙い通り、
せきららな告白が詰まった蜻蛉日記は
他の日記文学と比較しても珍しく、
いつの世も、人には言えない思いをしたためるのが
日記の醍醐味であることを教えてくれる。
Markus Spiske raumrot.com
日記のはなし 手帳大賞の言葉
思わず手帳にメモしたくなった身近なひとの名言を、
手帳メーカーの高橋書店が、毎年、公募している。
「手帳大賞」として選ばれた受賞作には、
なにげないのに、かけがえのない言葉が並ぶ。
病室の夕陽より、やっぱり台所の朝陽ね。
重い病気から退院した妻が、台所に立ちしみじみ言ったひとこと。
ネギにアイロンあてたのがニラだね。
小さな娘がスーパーで父に言った微笑ましいひとこと。
読んでいると、大事なひとの言葉をさっと書きとめる。
そんな日記のつけ方もあるのだと、気づかされる。
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