雨が降れば
柿本人麻呂歌集にこんな歌がある。
鳴る神の 少し響(とよ)みて さし曇り
雨も降らぬか 君を留(とど)めむ
意味は、
雷が鳴って、曇って、雨が降ってくれたらいいのに。
もう少しあなたと一緒にいたいから。
愛しい人と離れたくない。
そんな気持ちがよく伝わる愛の歌。
この歌への返事も、また美しい。
鳴る神の 少し響(とよ)みて 降らずとも
我(わ)は留まらむ 妹(いも)し留(とど)めば
意味は、
雷が鳴らなくても、雨が降らなくても、
あなたが一緒にいたいというなら、
私は帰りませんよ。
お互いへの愛が
恥ずかしいほどに伝わって来る。
雨の降る日。
あなたは誰と一緒にいたいですか。