2017 年 8 月 5 日 のアーカイブ

佐藤延夫 17年8月5日放送

170805-01
FoeNyx
学者のこころ 伊藤圭介

理学博士 伊藤圭介は、
幕末から明治時代にかけて
日本の植物学を牽引した一人だ。

シーボルトと親交を深め、
彼から譲り受けた本を訳す中で、
さまざまな言葉をつくっている。
「雄しべ」、「雌しべ」、「花粉」など、
今でも日常で使われる植物学用語は、
伊藤が生み出したものだ。

シーボルトは、伊藤の功績を讃え、
アシタバ、スズランなどの学名に、
keiskeという言葉を入れている。

図鑑に名前が載る仕事。

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佐藤延夫 17年8月5日放送

170805-02

学者のこころ 山川健次郎

明治、大正時代の物理学者、
山川健次郎は、白虎隊の生き残りだった。
会津藩が降伏すると謹慎を命じられたが、
越後に落ち延び学業に勤しんだ。
その後、留学生として渡米。
物理や土木工学を学び、
日本で初めての物理学教授になっている。

明治時代に世間を騒がせた千里眼事件では、
物理学者という立場で実験に立ち会い、
不審な点を暴いている。

粗末な家に住み、毎朝3時に起床。
清廉潔白で、学生思いの教授だったという。

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佐藤延夫 17年8月5日放送

170805-03

学者のこころ 藤原咲平

気象学者の藤原咲平は、
富山湾に何度も出向き、
蜃気楼のメカニズムを解明した。

海岸や湖岸で冷たい空気が停泊しているところに
陸地から温かい風が吹き込んだ場合、
水面上に冷たい空気のレンズ状の層ができる。
それにより光が屈折し、蜃気楼が発生する。
この緻密な観察には、驚きの声があがったという。

やがて藤原は中央気象台長となるが、
折しも太平洋戦争と重なり、
気象情報は軍事機密とされた。
また、新聞でもラジオでも、
天気予報の発表が禁止されている。

学者の本分も、戦争が破壊する。

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佐藤延夫 17年8月5日放送

170805-04

学者のこころ 石原純

理論物理学者、石原純は、
大学生のときに読んだ相対性理論に感動し、
自分もその研究をしようと思った。
日本で初めて相対性理論の論文を書き、
ヨーロッパへ留学の際には、
実際にアインシュタインらのもとで学んでいる。
帰国後は、日本物理学の草分けとして研究を重ねた。
アインシュタイン来日時には、通訳も務めている。

また、石原は物理学のほかに和歌も嗜んだ。
チューリヒでアインシュタインと面会したときに、
こんな歌を詠んだ。

名に慕へる 相対論の創始者に われいま見ゆる こころうれしみ

憧れる人に出会ったときの感動は、
数式では表せない。

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佐藤延夫 17年8月5日放送

170805-05

学者のこころ 菊池大麓

明治、大正時代の数学者、菊池大麓は
幼いころからエリートだった。
6歳から英語と数学を習い始め、
9歳のときには教える立場になっていた。
幕府の命によりイギリスに留学。
ケンブリッジ大学でも主席の成績をおさめ、
帰国して東京大学の教授に任命されたのは、
22歳という若さだった。

菊池は、留学中にラグビーの試合に出場したという。
そう考えると、日本初のラグビープレーヤーは、
菊池大麓だったのかもしれない。

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