佐藤延夫 17年8月5日放送
学者のこころ 藤原咲平
気象学者の藤原咲平は、
富山湾に何度も出向き、
蜃気楼のメカニズムを解明した。
海岸や湖岸で冷たい空気が停泊しているところに
陸地から温かい風が吹き込んだ場合、
水面上に冷たい空気のレンズ状の層ができる。
それにより光が屈折し、蜃気楼が発生する。
この緻密な観察には、驚きの声があがったという。
やがて藤原は中央気象台長となるが、
折しも太平洋戦争と重なり、
気象情報は軍事機密とされた。
また、新聞でもラジオでも、
天気予報の発表が禁止されている。
学者の本分も、戦争が破壊する。