澁江俊一 17年9月10日放送
羽細工の人間国宝
メートル・ダールをご存知だろうか。
それは日本の人間国宝にならって
策定されたフランス版人間国宝の名称である。
その一人、ネリー・ソニエは羽細工の職人。
鳥や木々や草花に囲まれて育ち、
14歳で失われつつあった伝統技術の
羽細工に出会った時、
これこそ天職だと悟った。
色とりどりの繊細な鳥の羽。
その一枚一枚を加工し、つなぎ合わせて
花や、草木、ドラゴンなど
複雑なモチーフを創り上げていく。
見る者はまず
その造形の美しさに驚き、
近くで見るとそれが
一枚一枚の羽でできていることに
もっと驚く。
かつて空を飛んでいた羽が
別の形になって、私たちの想像力を、
天高く羽ばたかせる。
その感動は、なかなか味わえないものだ。