伊藤健一郎 17年9月16日放送
臨終の話 フランツ・カフカ
フランツ・カフカは、
労働局災害保険局で働きながら、小説を書いたという。
まじめで、自分にきびしいカフカは、
過労で体を壊すほど仕事にのめりこんだ。
彼は、34歳で、結核を発症する。
そして、壮絶な闘病生活をおくる中、41歳で生涯を終えた。
カフカの死後に発見された友人への手紙には、こう記されている。
「最後の願いだ。僕の遺稿のぜんぶ、日記、原稿、手紙のたぐいは、
ひとつ残らず、なかみを読まずに焼き捨ててくれたまえ」
カフカの死顔は、彼の精神があらわれたように、
きつく、きびしく、近寄りがたかったという。