翻訳のはなし 堀達之助
1853年、日本に激震が走ったペリー来航。
その得体の知れぬ船に近づき、
交渉を進めた勇敢な男がいる。
彼の名は、堀達之助。
船の下から、唯一喋れる英語の文章を叫んだ。
I can speak Dutch!
堀は長崎で育った、オランダ語の通訳士だった。
流暢なオランダ語で話を進め、
日本は開国へと向かっていく。
その約10年後、1962年。
堀を中心に日本初の印刷された英和辞書、
「英和対訳袖珍辞書」が刊行された。
たった10年。
独学で学んだ彼の英語は、
日本における英語普及の基礎を築くまでになっていた。