村山覚 17年9月30日放送
翻訳のはなし 村上春樹
村上春樹。
日本を代表する小説家であると同時に、翻訳家でもある。
翻訳というのは言い換えれば、
「もっとも効率の悪い読書」のことです。
でも実際に自分の手を動かして
テキストを置き換えて行くことによって、
自分の中に染み込んでいくことはすごくあると思うんです。
机の左手に気に入った英語のテキストを置き、
それを右手にある白紙に日本語の文章として立ちあげていく。
村上春樹が翻訳をする理由。
僕は文章というものがすごく好きだから、
優れた文章に浸かりたいんだと思います。
高校時代からアメリカ文学にどっぷりと浸かり、
独特のリズムと文体を確立。
「たまたま日本語で書いているアメリカの作家」とも言われる
彼の小説を、時には英語翻訳版で読んでみるというのも
悪くない選択だ。