涙のはなし 涙のアート
今年の夏、東北の復興に捧ぐ芸術祭が
宮城県・石巻市で行われた。
国内外36組のアーティストが参加したこの芸術祭で
話題を呼んだ、ひとつのアート作品がある。
作品の名前は、「ひとかけら」。
制作したのは、アーティスト集団、チン↑ポム。
この作品は、現地の人々に震災の時の話を聞き、
話をしながら流した涙をあつめて凍結したもの。
作品自体は、牡鹿半島中部の洞仙寺に埋めた
冷凍コンテナの中にあり、地下まで階段を下りてはじめて
作品を見ることができる。
制作に至るきっかけとなったのは、遺族の言葉。
悲しみの涙はもういらないから
楽しいときに涙を流したい。
「ひとかけら」。その作品は、
涙は時に、前を向くために必要なものだと、教えてくれる。